エンディングまでの時間は十時間程度ということで大作とは言えないと思いますが、少なくとも『佳作』と呼びたいゲームですし、かなりひさしぶりに最後まできちんと遊ぶ気になったロールプレイングゲームということで、紹介と感想を。
『デュープリズム』は、1999年10月14日(木)にスクウェアから発売されました。2人の主人公が強大な力を秘めた『遺産』を求めて冒険の旅を繰り広げ、ついに…といった3D画面のアクションロールプレイングゲームです。
育ての親であったクレアを生き返らせることを目指す男の子『ルウ』と、妹のマヤに奪われた王位継承権を取り戻し、さらには『世界征服』まで目論むもと王女『ミント』を中心に話が進んでいきます。2人のどちらを主人公にするかはゲームを始めるときに選ぶ必要があり、選んだ方が『主役』となります。
といっても、同じ展開を2人の視点から眺めるわけではなく、それぞれ違った展開が用意されています。舞台設定は共通ですが、ルウ編とミント編では登場人物の行動や雰囲気が変化するため『2つの物語』を楽しむことができます。
ルウは斧を、ミントはリングを振って攻撃を行います。2人ともボタンを続けて押すと連続攻撃になります。ジャンプしながらボタンを押しても攻撃が変化します。これらと『特殊攻撃』を合わせてモンスターに立ち向かっていきます。
まず、ルウには『モンスターに変身できる』という特殊能力があります。倒した敵からコインを取ると、そのモンスターに変身することができます。変身すると外見だけでなく能力も引き継がれるため、さまざまな特殊攻撃が可能になります。一方、ミントはアイテムの『色』と『効果』を組み合わせて『魔法』を繰り出すことができます。
経験値はなく、HPやMPを消費することで最大値がふえていく仕様になっています。HPは一定以上ダメージを受けるたび、MPは特殊攻撃や魔法を一定以上使うたびに最大値が1ずつふえていきます。また、コンティニューは教会への寄付などで得られる『ふっかつコイン』で行います。一番安く入手できる『ブロンズコイン』をたくさん持って冒険に出発すれば、かなり気軽に遊べるようになります。
操作性はかなりよく、きつめのアクションが要求される場面でも軽快に動かせます。ミントは通常攻撃の距離が短めですが、かわりに魔法が扱いやすくなっているため、アクションが得意でしたら2人のどちらでも楽に進められるようです。
が、各所に登場するボスとの戦闘は結構むずかしくなっています。どう攻撃すればダメージを与えられるか少々わかりにくい場合もありますし、かなりびみょうな操作が要求されることもあって私は苦戦することが多かったです。ミント編の最終ボスなど、十数回コンティニューしてようやく倒せたということもありました。
ポリゴンによるキャラクターの造形はかわいらしく、イラストと比較しても違和感なく仕上げられています。キャラクター同士の会話は3Dキャラのまま直接行われますが、ミントを中心にコミカルな動きが多く、楽しく見ることができます。プリマドールに対してくやしがったり、マヤの発言にずっこける場面などは必見です。
最初にルウとミントのどちらを選ぶかによって、ストーリーが変化します。ルウ編が『宿命』を主題にしたシリアスな物語なのに対して、ミント編は『どたばたした』コメディ中心の冒険ですが、いずれも『お約束』の王道になっています。
好きな順番で遊ぶことができますが、これから遊ぶ方は『ミント編→ルウ編』の順に遊ぶことをお薦めします。2人のエンディングを見たら見られる『追加エンディング』がルウ編を想定していることと、ルウ編の方がミント編よりも『主要人物の設定』を詳しく知ることができるため、あとにした方が楽しめると思うからです。
ちなみに、ルウのキャラクターはルウ編でもミント編でもあまり変化はありませんが、私の印象では『ルウ編でのミント』はミント編に比べると『ちょっとこずるく』なっている気がします。でも、いずれも『かわいげ』はありますし『夢はでっかく世界征服っ!』な言動は共通ですから、楽しく笑いながら眺めていられるかと。
ゲームはグラフィックではなく、軽快に遊べることが第一条件…と思ったりするのは『ファミコン世代』だからかもしれませんが、リアル志向でなければ『デュープリズム』のポリゴンキャラは一つの完成形で、あとは操作性の問題と思うことも。
あと、このゲームは仲野順也さんによる音楽もいい感じで、先日サウンドトラックも入手しました。ルウ編の『邂逅』など、ゲームの情景とも合った名曲揃いです。最初は『3D対戦格闘』だと思っていたというお話も興味深かったですが。