ストーンウォーカーズ

【対応機種:プレイステーション ジャンル:アドベンチャー 発売元:SUNSOFT】

 1996年10月に発売されたソフトですが、現在(1999年3月)でも見つけるのはさほどむずかしくないと思います。というのは、1998年12月にサンコレBESTとして『2800円』で再販されてまして、新パッケージがなかなかいい感じです。で、客観的にお薦めかというと『?』なのですが、個人的なお気に入りゲームですので、簡単に紹介など書いてみたいと思います。

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背景

 これを書くにあたって、発売元であるサンソフトのページを見て来たのですが、多種多様なゲームをリリースしていることを再認識させられました。ファミコン時代には、

いっき

や『東海道五十三次』『アトランチスの謎』に代表されるチャレンジブルなゲームで一世を風靡し、プレイステーション発売直後にも、個性派ゲーム

麻雀ステーション・麻神

で(一部の)話題を集めました。それに加えて『へべれけ』『おーちゃん』シリーズ、すぎやま現象さんの『フォトジェニック』さらには『ギャラクシーファイト』『わくわく7』といった格闘ゲームまで出している、あなどりがたいメーカーです。といっても『上海』シリーズやパチンコゲームが一番堅実なセールスという可能性もありそうですが。

 その中で『ストーンウォーカーズ』は、設定こそ『アトランチスの謎』の古代文明を引き継いでいますが、システム的には『デッド・ゾーン』的なアドベンチャーで、当時の流行であったムービーやマルチエンディングを取り入れ、かわいい女の子も登場して…といった、結構ふつうのゲームとして位置付けられます。そのゲーム内容については、次節で書きたいと思います。

 ちなみに、サンソフトという名前自体、Solaris(UNIX)なこちらに対してチャレンジブルではないかと思います。日本語では『日本サン・ソフト』なのですが、製品パッケージなどではSunSoftと書かれることがよくあったりします。

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本論

 紹介ページにも書かれていましたが『ストーンウォーカーズ』は古代マヤ文明をモチーフとしたアドベンチャーゲームです。主人公『ランディ』ことランドルフ・アンバーは、普段は大学の講師、実は盗掘師という設定です。『MASTERキートン』を少し格好良くした感じといえば良いかと思います。

 そのランディが、中米のグアテマラに発掘調査の名目で盗掘に行こうとしたところ、彼の生徒である神宮寺ちひろと二ノ宮梨花がついて来てしまい…といったストーリーです。基本的に、永い眠りから覚めたマヤ文明人の少女『カハ・パルマ』を軸として話が展開していきます。

 システム的には、コマンド選択型のオーソドックスなアドベンチャーゲームです。ただし、独自のシステムとして、

『タイムカウント』と『アイコンカウント』

が採用されています。いずれも本質的には同一(実は違いが良くわかりません…)で、コマンドの入力『回数』に制限が設けられています。これにより『考える選択』が必要、とマニュアルには記載されています。

 制限が付いた『だけ』という評価もありましたが、個人的には制作サイドの意図は達成されたかと思います。コマンド総当たりができなくなっていますし、戦闘など重要な場面では緊迫感が増します。一方、『全てのメッセージを読みたい』といった向きには厳しいシステムになっていますが、『全てを読まないと先に進めない』よりも一般受けすると思います。

 少し話が逸れますが、選択回数でなく選択『時間』に制限を設けたゲームもいくつかあります。『風の丘公園にて』やパソコンゲーム『デッド・オブ・ザ・ブレイン』シリーズがそうですし、ジャンル違いですが『ずっといっしょ』『サクラ大戦』もこの範疇に入るかと思います。最近の流行はこちらかと推測されますが、アドベンチャー好きな私としては、いずれにしてもこうした試みは積極的に行ってほしいと思っています。

 さて、最近のノベル系ゲーム程ではないかもしれませんが、『ストーンウォーカーズ』も一応マルチエンディングを採用しています。病院直行となるバッドエンド以外では、全部で4種類(推定)のエンディングが用意されています。分岐のポイントは、2つの選択肢から選ぶ場合と、制限回数内に特定のコマンドを実行することで話が変わる場合とがあります。

 序盤の分岐が結構難しく、私は雑誌の攻略ページを参考にしましたが、それ以外は自力でも可能な範囲かと思います。各エンディングにあっと驚く程の違いはありませんが、それぞれ展開が異なるストーリーを楽しむことができます。

 1つだけ挿入歌を聴けるエンディングがありますが、それがベストエンディングとは位置付けされてない感じです。ですから、『真のエンディング』を求める方には少し不満かもしれませんが、私としてはこちらの方が、遊ぶ側に判断の余地が(少しでも)残されているので何となく気に入っています。

 あと、当時『次世代機』と呼ばれていた、プレイステーションならではのムービーも取り入れられています。声優さんの声が入るのは、このムービーと、オープニング・エンディングが中心なのですが、途中のムービーでない部分で、かつ

あまり重要でない場面

でも声が入ってまして、(雑誌でも指摘されてましたが)少し『謎』な部分です。

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総括

 サンコレBESTがリリースされたことからして、発売当時はある程度のセールスを記録したのではないかと推測されます。といっても、システム的には評価していますが、BEST版と同日にリリースされた『久遠の絆』などと比較すると、現在ではどうしても少し古さを感じてしまうかと思います。

 一方、キャラクタ的には『良い』部類に入るのではないかと思っています。現在とは事情が違うころに発売されたゲームのため、恋愛要素や暴力的な要素はかなり薄くなっていますが、デザイン・設定のいずれも一定の水準はクリアしていると思います。

 かといって『お薦め』かというと難しいところでして、私のように

1980年代後半のコマンド選択型が好き

なアドベンチャーゲームファン(きっと少数派)か、

『いっき』って最高!へべれけ萌え萌え〜!

なサンソフトファン(絶対に少数派)にしか薦められないのが哀しいところです。

 最後に余談ですが、エンディングロールの声優さんリストに柊美冬さんがいまして、実は私、ファンだったりします。アニメ『スレイヤーズNEXT』のマルチナ役の声で何となくお気に入りになりました。ゲームでは、1999年夏にトンキンハウスから発売予定のノベル系アドベンチャー『Lの季節』にも出演されるそうで、注目しています。

 ですが、『ストーンウォーカーズ』ではメインキャストではなく、登場部分と考えられるのは、とあるシナリオで登場するマヤ文明人の少女の

『ハッ!』という叫び声

『だけ』のようでして、これまたいろいろな意味で哀しいところだったりします。

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