Never7 〜the end of infinity〜

【対応機種:ドリームキャスト ジャンル:アドベンチャー 発売元:KID】

 『メモリーズオフ』開発スタッフによる次回作ということで遊び始めたゲームですが、期待以上の作品でした。一つの設定をさまざまな角度から見せるシナリオは見事で、少なくともその部分は『痕』と同じくらいの完成度ではないかと。

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紹介と感想

 『Never7』は、2000年12月21日(木)にKIDから発売されました。大学3年生になった主人公『石原誠』が、ゼミ合宿に参加するため訪れた島で『タイムスリップ』が絡んだ事件に巻き込まれて…といったアドベンチャーゲームです。プレイステーションで先に発売された『インフィニティ』のドリームキャスト版にあたります。

 いずれも前作にあたる『メモリーズオフ』を引き継いだシステムですが、完成度は高く遊びやすいです。また『インフィニティ』からの追加としては、途中の場面からゲームを始めることができる『ショートカット』やインターネットからシナリオをダウンロードできる『アペンドストーリー』などがあり充実しています。

 ゲーム開始直後に見られる場面で『あらすじ』は簡単に想像することができますが、シナリオごとに中心となる謎や後半の展開が違うため『同じような話』の繰り返しにはなっていませんし、謎が解き明かされる過程も作り込まれています。『島』という舞台が『閉鎖された空間』を演出しているうえ『鈴』や『神社』といった仕掛けも違和感なく話に組み込まれていて、私はかなり引き込まれました。

 また『タイムスリップ』以外に一つ『軸となる設定』があり、それが明かされる場面はちょっと唐突かもしれませんが、それ以降は前半部分に数多くちりばめられた伏線が推理小説のように絡み合って話が進んでいきます。

 登場人物は『メモリーズオフ』を思い出すような個性的な要素が大きく『好き嫌い』がわかれそうですが、文字通り『個性』を付けることには成功していますし違った一面を覗かせる場面も印象深くなっているように感じられました。

 話の展開についても『メモリーズオフ』と同じような『力業』で謎を解決させる部分があるとはいえ『主人公の過去』という設定を一切使わず構成されていて好印象です。意識して作られたかどうかはわかりませんが、主人公が持っている知識と遊ぶ側の『ずれ』がほとんど生じないため、感情移入しやすいと思いました。

 その一方で『主人公にとっての過去』が生じる話もあって『女の子の過去』と絡めた物語が巧みに展開されていきます。一人一人エンディングを見るたびにちょっとずつ『真実』がわかる仕掛けで、次の話が気になる作りになっています。

 そして『Never7』で追加された『いづみキュア』シナリオは、全ての謎をまとめあげる話になっています。理性に訴えかける『謎解き』と感性に訴えかける『物語』が同時に進行していく部分は圧倒的で、読み応えのあるシナリオです。

 いづみさん自身も『話のまとめ役』から『メインヒロイン』へと格上げされていますし、終盤に見られるイベントグラフィックは幻想的な魅力を放っていて『物語の雰囲気』を作り上げています。これで私は『好みの順位』が一気に2位へと。

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