Thread Colors 〜さよならの向こう側〜

【対応機種:プレイステーション2 ジャンル:アドベンチャー 発売元:D3 PUBLISHER】

 風上旬さんの絵柄以上に、メインシナリオの館山緑さんに魅力を感じて遊び始めたゲームですが、これまで見た作品から期待していた『らしさ』を感じさせる言葉遣いと、ちょっと今回は予想していなかった『背徳』にかかわる命題も。


©2002 HuneX ©2002 D3 PUBLISHER

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ゲーム紹介と感想

 『スレッドカラーズ』は、2002年11月14日(木)に株式会社ディースリー・パブリッシャーから発売されました。交通事故により入院することになった高校3年生『当麻尚登』が『なくしてしまった記憶』を次第に取り戻す過程を描いたアドベンチャーゲームです。

 2004年3月18日(木)には『SIMPLE2000シリーズ Vol.45 THE 恋と涙と、追憶と…。』として再発売されましたが『スレッドカラーズ』としてはCDやフィギュアなどが付属する『限定生産初回BOX』と『量産型ふつう版』が発売されています。佐藤裕美さんの歌に関心がある場合は、ちょっと入手しにくいとしても初回版の入手をお薦めしたいです。

 ヒューネックスが開発を手掛けているため、システムは遊びやすく作られています。ちょっとセーブやロードに時間がかかりますが、スキップや文章の読み返しなど特に必要な機能は一通りありますし、フォントや表示速度などの設定も充実しています。

 また、ゲームを遊んでいる時間で『タイトル画面』が変化したり、誰かの話に入ると『次の文章への合図』が全員違っていたりなど、こまかな部分も作り込まれていますし『ガラスが割れる様子』や『テレビの砂嵐』といった演出が効果的に使われています。イベントグラフィックも充実していますし、登場人物の私服が何種類か準備されていて『いつも同じ服装』ということがなくなっています。

 ストーリーは『プロローグ』と『本編』から構成されていて、プロローグの選択によって誰のシナリオに入るか決まります。ちょっと説明書にも記載されていますが、本編は『パラレルワールド』のような作りになっていて、それぞれ『違った物語』が見られます。話によっては、登場人物の性格が違うこともあったりします。

 それほど選択肢は多くありませんが、ちょっとだけ『むずかしめ』になっているため、私の場合、何回か遊び直さないとグッドエンドを見られないこともありました。ですが、3人グッドエンドを見られると『うらスレ』が始まり、その中でヒントなども得られるため、一通り遊ぶための手掛かりはありますし、実は見かけよりも長く遊ぶことができます。ちょっとでも魅力に思う要素があれば、途中で中断せず進めることをお薦めしたいと。

 尚登の妹『当麻美桜』に幼なじみの『求塚由真』と、最初は『お約束』に思えてしまう登場人物の設定ですし、現在では『記憶』を取り扱った作品もめずらしくないですが、いくつか『びっくりする』仕掛けもありますし、こまやかな描写はいい感じと思いました。会話の『かけあい』なども、はじけてはいませんが絵柄と合った自然な雰囲気ですし、ちょっと笑ってしまう場面もあって結構お気に入りだったりします。

 また、本編が一人一人違う作りになっているため、話によっては『世界そのもの』に仕掛けがあったりします。あくまでも『現実』を追求することもあれば『幻想』が舞台に選ばれることもあって、このあたりは好みがわかれそうな感じです。でも、いずれにも好きな話はありましたし、舞台設定が違うため選ばなかった女の子のことをそれほど気にかけずともよくなっていたりと、シナリオとしての試みは面白いと思っています。

 シナリオ担当の館山緑さんを知ったのは『Memories Off 2nd』からでしたが、今回も主人公の心理描写が自然に感じられましたし『登場人物を大切にしている』雰囲気が好感触でした。それは『ひとが死なない』といった次元ではなく、ゲームという世界でも一人一人が『考え迷う存在』に見えるという意味でして『落下症候群』という小説でも、登場人物に対する思い入れの深さが印象に残っています。

 そして、登場人物たちの『優しさ』も見えるからこそ『祝福されない想い』が印象深く感じられた気がします。最初のころ『猫の絵』が見えたため、てっきり『髪飾り』とばかり思っていたのですが『違った装飾』ということに気が付いたときは巧妙と思いましたし、結末に至るまでの一つ一つの会話が、私にとっては記憶に。

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